Google広告のアカウント移管とは
Google広告のアカウント移管とは、今の代理店が運用している広告アカウントを、過去の配信データを残したまま、自社や新しい代理店が管理できる状態に移すことです。アカウントを作り直すのではなく、同じアカウントの「誰が管理し、誰が支払うか」を付け替えます。
代理店の乗り換えで「移管」と呼ばれる作業は、実際には次の3つに分かれます。どれが必要になるかは、今のアカウントの状態で決まります。
| 作業 | 内容 | 使うGoogle広告の機能 |
|---|---|---|
| 管理者の付け替え | 自社の担当者を管理者にし、旧代理店のユーザーを外す | アクセスとセキュリティ |
| 代理店のつなぎ替え | 新しい代理店のマネージャーアカウントをリンクし、旧代理店のリンクを解除する | マネージャーアカウントのリンク・リンク解除 |
| 支払いの付け替え | 旧代理店がまとめて払う形から、自社払いや新しい代理店の請求に変える | お支払い・請求設定 |
マネージャーアカウントとは、代理店が複数の広告アカウントをまとめて管理するための親アカウントです。Google広告の日本語版ヘルプでは「クライアント センター(MCC)」と表記されています。Google広告ヘルプでは、マネージャーアカウントとのリンクを解除しても、広告アカウントの履歴とGoogle広告の機能はそのまま残ると案内されています。つまり、手順を守れば過去の配信データを失わずに代理店を変えられます。
最初に確認する3点:管理者・代理店のリンク・支払い
Google広告のアカウント移管で最初に確かめるのは、自社のGoogleアカウントが広告アカウントの「管理者」になっているか、どのマネージャーアカウントにリンクされているか、広告費をどこが支払っているかの3点です。この3点で、移管の難しさと手順が決まります。
管理者とは、Google広告のアクセス権で最も強い段階です。Google広告ヘルプでは、アクセス権は管理者・標準・読み取り専用・お支払いとご請求・メール専用の5段階で、ユーザーの招待や削除、マネージャーアカウントとのリンクの管理は管理者だけができると案内されています。
確認は、広告アカウントの管理画面で行います。
- 管理者:[管理者] メニューの [アクセスとセキュリティ] で、自社のメールアドレスに「管理者」の権限があるか
- 代理店のリンク:同じ画面の [管理者] のページに、どのマネージャーアカウントが表示されているか
- 支払い:お支払いの画面で、支払い方法と請求書の宛先がどこになっているか
確認の結果は、おおむね次の3つの状態に分かれます。
| 状態 | 移管の難しさ | 進め方 |
|---|---|---|
| A:自社が管理者で、自社のカードなどで支払っている | 低い | 新しい代理店をリンクし、旧代理店のリンクを解除する |
| B:自社が管理者だが、旧代理店の月間請求で支払っている | 中くらい | 支払いを先に切り替えてから、旧代理店のリンクを解除する |
| C:自社にログインの権限がない | 高い | 旧代理店に管理者として招待してもらい、AかBの状態にしてから進める |
月間請求とは、Google広告ヘルプで「毎月の請求書発行」と呼ばれる支払い方式で、カード払いではなく、ご利用限度額の範囲で月ごとに請求書で支払います。代理店が自社の月間請求で、複数の広告主の広告費をまとめて支払っていることがあります。
Cの状態では、オーナー権限の場所も確かめます。代理店のマネージャーアカウントから作った広告アカウントは、そのマネージャーアカウントが自動でオーナーになり、ユーザーの招待・削除や管理者権限の付与ができます。オーナー権限を外すには、広告アカウントに管理者が1人以上必要です。
代理店を乗り換える手順:旧代理店のリンク解除は最後
代理店の乗り換えは、「自社を管理者にする → 新しい代理店をつなぐ → 支払いと計測を切り替える → 旧代理店を外す」の順で進めます。旧代理店を先に外すと、月間請求による配信の停止や、コンバージョンの計測漏れが起きることがあるためです。
- 旧代理店に、解約の時期と引き継ぎの方針を伝える(契約の解約予告期間を確認する)
- 自社のGoogleアカウントを管理者として招待してもらい、承認する
- 新しい代理店がマネージャーアカウントから「既存のアカウントをリンク」でお客様IDを入力し、リンクのリクエストを送る
- 自社の管理者が [アクセスとセキュリティ] の [管理者] ページで、リンクのリクエストを承認する
- 支払いの形を決め、必要なら切り替える(次の節)
- コンバージョン計測とリストを、旧代理店のマネージャーアカウントに頼らない形に移す
- 旧代理店のマネージャーアカウントのリンクを解除し、旧代理店の担当者のユーザーを削除する
- 解除の翌日以降に、配信・費用・コンバージョンの記録を確認する
アカウントによっては、ユーザーの追加・削除やアクセス権の変更に、別の管理者の承認(複数の関係者による承認)が必要です。承認されないリクエストは20日で期限切れになり、Googleのサポートは代わりに承認できません。
Google広告ヘルプでは、マネージャーアカウントへのリンクはマネージャー側から招待を送り、広告アカウントの管理者が承認すると成立すると案内されています。Googleの開発者向け資料によると、1つの広告アカウントには最大5つのマネージャーアカウントをリンクできます。そのため、新旧の代理店が両方つながる期間を作り、引き継ぎを確かめてから旧代理店を外せます。
リンクの解除は、広告アカウントの [管理者] メニューの [アクセスとセキュリティ] から [管理者] のページを開き、対象のマネージャーアカウントの [アクセス権を削除] を選んで行います。Google広告ヘルプによると、解除を確定する前に、影響のプレビューが表示されます。
参考:Google 広告ヘルプ:クライアント センター(MCC)アカウント: アカウントを MCC アカウントにリンクする
支払いの切り替え:月間請求なら解除の前に
旧代理店のマネージャーアカウントが月間請求で広告費を支払っている場合は、リンクを解除する前に請求の設定を変える必要があります。Google広告ヘルプでは、月間請求の支払いを担うマネージャーアカウントとのリンクを解除すると、広告の配信が止まると案内されています。
| 今の支払いの形 | 乗り換えのときにすること |
|---|---|
| 自社のカードなどで支払っている | 原則そのままでよい。新しい代理店に支払い情報をどこまで触らせるかだけ決める |
| 旧代理店の月間請求で、今後は新しい代理店の月間請求にする | 請求の設定の移し方と移行日を新しい代理店と決め、移行が済んでから旧代理店を外す |
| 旧代理店の月間請求で、今後は自社で支払う | 自社の支払い方法を設定してから、旧代理店を外す |
月間請求のまま別のマネージャーアカウントに移す手続きは、最新のGoogle広告ヘルプと管理画面で確かめながら、新しい代理店と進めます。月間請求をやめる場合、日本の請求先のアカウントでは前払い(手動支払い)は使えないため、カードなどを登録して後払い(旧 自動支払い)にします。旧代理店に支払う残りの広告費と手数料の精算時期も、解約の連絡と同時に決めておくと混乱しません。
引き継ぎ漏れを防ぐ確認項目
広告アカウントそのものはリンクを付け替えても残りますが、旧代理店のマネージャーアカウントの側で作られたものは、広告アカウントには残りません。リンクを解除する前に、次の表の項目を1つずつ確かめます。
| 項目 | 確認すること | 引き継がないと起きること |
|---|---|---|
| コンバージョン計測 | 計測がアカウント単位か、マネージャー単位(クロスアカウント)か | 解除後のクリックの成果が記録されない |
| Googleタグ・タグマネージャー | サイトのタグと、タグマネージャーの管理権限が自社にあるか | 計測を自社で直せない |
| リマーケティングのリスト | マネージャー単位で共有されたリストを使っていないか | そのリストを使う広告グループの配信が止まる |
| Googleアナリティクス | 管理権限が自社にあるか、広告アカウントとリンクしているか | 分析データを自社で見られない |
| Merchant Center・ビジネスプロフィール | 所有者が自社か、広告アカウントとリンクしているか | 商品や店舗の情報を自社で直せない |
| 代理店独自のレポート | 解約後も使える形で保存したか | 旧代理店が作った資料が手元に残らない |
クロスアカウント・コンバージョン トラッキングとは、マネージャーアカウントで作った1つの計測設定を、複数の広告アカウントで共有する仕組みです。Google広告ヘルプでは、この計測設定はマネージャーアカウントが管理し、広告アカウントの側では編集できないと案内されています。リンクを解除した後のクリックは、マネージャーアカウントのタグでは計測されません。解除前のクリックは、通常30日の計測期間内なら記録されます。広告アカウントの側に独自のコンバージョンタグが残っていれば、その計測が再開されます。
管理者が1人だけの状態も避けます。Google広告ヘルプでは、唯一の管理者がいなくなるとタグにアクセスできなくなるおそれがあるとして、管理者を2人以上にすることを勧めています。
参考:Google 広告ヘルプ:クロスアカウント コンバージョン トラッキングについて
関連する解説:複数店舗のMEO管理|店舗情報・更新・権限を揃える方法
次の代理店と契約する前に決めておくこと
アカウント移管で困らないためには、次の代理店と契約する時点で、広告アカウントを自社の名義で持ち、自社の担当者を管理者に入れておくことが大切です。乗り換えで起きる問題の多くは、契約のときに権限と支払いの形を決めていなかったことから始まります。
契約の前に、次の点を代理店と書面で確かめます。
- 広告アカウントは自社のGoogleアカウントで作るか、自社の担当者が管理者に入る
- 代理店に付ける権限の段階(管理者か標準か)と、その理由
- 支払いは自社払いか代理店の月間請求か、解約時にどう切り替えるか
- コンバージョン計測はアカウント単位で設定し、タグマネージャーとアナリティクスは自社が所有する
- 解約予告の期間と、解約時に引き渡すデータや資料の範囲
- 代理店独自のツールやレポートのうち、解約後に使えなくなるもの
代理店選びで見るべき点と費用の考え方は、別の記事で整理しています。
よくある質問
参考資料
公式資料の事実と、本文の実務上の提案・架空の例を分けて記載しています。確認日:2026年10月23日(MCCの表記、オーナー権限、複数の関係者による承認、日本で使える支払いの設定は2026年10月24日に確認)。
- Google 広告ヘルプ:Google 広告アカウントのアクセス権の概要
- Google 広告ヘルプ:Google 広告アカウントへのアクセス権を管理する
- Google 広告ヘルプ:Google 広告の「複数の関係者による承認」について
- Google 広告ヘルプ:クライアント センター(MCC)アカウントについて
- Google 広告ヘルプ:クライアント アカウントのオーナー権限について
- Google 広告ヘルプ:Google 広告、Google アナリティクス、Google Merchant Center のアカウントのオーナー権限を譲渡する
- Google 広告ヘルプ:クライアント センター(MCC)アカウント: アカウントを MCC アカウントにリンクする
- Google 広告ヘルプ:クライアント センター(MCC)アカウント: MCC アカウントからアカウントのリンクを解除する
- Google 広告ヘルプ:クライアント センター(MCC)アカウントからのアカウントのリンク解除について
- Google 広告ヘルプ:お支払い設定の移行を行う(毎月の請求書発行をご利用のアカウントの場合)
- Google 広告ヘルプ:Google 広告アカウントのお支払い情報を再設定する
- Google 広告ヘルプ:Google 広告のお支払い設定について
- Google 広告ヘルプ:ご利用可能なお支払い方法
- Google 広告ヘルプ:クロスアカウント コンバージョン トラッキングについて
- Google for Developers:既存の Google 広告アカウントを管理する
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