リスティング広告の運用代行の費用は3つに分けて考える

リスティング広告の運用代行にかかる費用は、Googleなどの広告媒体に支払う「広告費」、代理店に支払う「運用手数料」、始めるときの「初期費用」の3つに分けて考えます。「月いくら」の合計だけで比べると、広告費の大きさや作業範囲の違いが見えなくなるためです。

リスティング広告とは、検索した語句に連動して検索結果に表示される広告です。Google広告やYahoo!広告の検索広告がこれにあたります。

費用支払う先決まり方
広告費Google・LINEヤフーなどの広告媒体自社が決めた予算の範囲で、クリックなどに応じて発生する
運用手数料代理店広告費に対する割合、毎月の定額、成果報酬など
初期費用代理店アカウントの設計・設定、計測の準備など。かからない代理店もある
その他の費用代理店や制作会社LP(広告から移動する先のページ)の制作・改善、バナー制作、計測の設定など
運用代行の費用の流れ
広告費は広告媒体へ、運用手数料と初期費用は代理店へ、別々に支払う。

運用代行の費用の相場を調べると、さまざまな金額が見つかります。ただし、業界団体などがまとめた手数料の統計は、確認日時点で見つけられませんでした。代理店ごとに料金の決め方と作業範囲が違うため、ほかの会社の金額をそのまま当てはめても、自社に合うかは分かりません。この記事では、手数料の決まり方と、自社の広告費で見積もりを比べる計算の手順を説明します。

運用手数料の決まり方

代理店の運用手数料には、主に「広告費に対する割合型」「毎月一定の定額型」「成果ごとの成果報酬型」の3つの決め方があり、そこに最低手数料や初期費用、別料金の作業が組み合わさります。見積もりを受け取ったら、まずどの決め方かを確かめます。

決め方計算の仕方向いている場合注意点
割合型広告費×手数料率広告費が月によって増減する広告費を増やすほど手数料も増える。広告費の大きさで率が変わる段階を設ける代理店もある
定額型毎月決まった額広告費が毎月ほぼ一定広告費が少ないと、広告費に対する手数料の割合が高くなる
成果報酬型問い合わせ1件などの成果×単価成果を正しく計測し、定義できる何を成果と数えるか、重複や無効な問い合わせをどう扱うかを契約で決める必要がある

最低手数料とは、割合型で計算した手数料が一定の額に満たないときに、その額を下限として支払う決まりです。広告費が少ないほど最低手数料が当てはまりやすく、広告費に対する手数料の割合は高くなります。

初期費用は、運用を始める前の作業の対価です。アカウントやキャンペーンの設計、キーワードと広告文の作成、計測の設定などが含まれることがあります。初期費用がかからない代わりに、最低契約期間を設けている場合もあるため、両方をあわせて見ます。

手数料に含まれず、別料金になりやすい作業もあります。

作業内容必要になる場面
LPの制作・改善広告から移動する先のページを作る、直す今のページが広告の内容と合っていない、問い合わせの導線が弱い
計測の設定コンバージョンタグ、電話の計測、アナリティクスとの連携問い合わせや電話の数が広告の管理画面で見えていない
バナー・動画の制作ディスプレイ広告や動画広告の素材検索広告以外の配信も行う
媒体の追加Yahoo!広告など、Google以外の広告の運用検索広告をGoogle以外にも出す

計測の設定は、見積もりの中で最も確かめておきたい項目です。成果が計測できていないと、広告費に見合う成果が出ているかを、代理店も自社も判断できません。

見積もりを比べる計算の手順

複数の見積もりを比べるときは、各社の条件を自社の広告費に当てはめ、月の総額と、成果1件あたりの費用まで計算します。決め方の違う見積もりは、手数料率や月額を並べただけでは比べられないためです。

  1. 自社の月の広告費を決める。今の予定額に加え、増やした場合と減らした場合の3通りを用意する
  2. 各社の条件で、3通りの広告費それぞれの手数料を計算する(割合型は最低手数料も当てはめる)
  3. 初期費用を最低契約期間の月数で割り、月あたりの額にして加える
  4. 別料金の作業(計測の設定、LPの改善など)の見積もりを加える
  5. 税抜・税込の表記を揃える。Googleに支払う広告費には消費税がかかる
  6. 月の総額と、広告費に対する手数料の割合を出す
  7. 想定する成果の件数で割り、1件あたりの費用を出す

以下は、計算の仕方を示すための架空の数字です。3社の見積もりの手数料を、初期費用の月割りを含めて、3通りの広告費で計算しています。

見積もり条件(架空)広告費10万円広告費30万円広告費60万円
X社割合型:広告費の10%、最低手数料4万円、初期費用なし4万円4万円6万円
Y社定額型:月4.5万円、初期費用なし4.5万円4.5万円4.5万円
Z社割合型:広告費の15%、最低手数料なし、初期費用6万円を6か月で月割り2.5万円5.5万円10万円

この架空の例では、広告費が10万円ならZ社、30万円ならX社、60万円ならY社の手数料が最も低くなります。広告費の想定が変わると、安い見積もりも入れ替わるということです。

1件あたりの費用は、(広告費+手数料)÷成果の件数で出します。同じ架空の例で、広告費30万円にX社の手数料4万円を加え、問い合わせが月20件なら、1件あたり1万7千円です。この数字を、自社の利益から決めた1件あたりの上限と比べます。

見積もりで金額以外に確かめること

金額を計算したら、次に作業範囲と契約の条件を確かめます。総額が同じでも、毎月の作業の中身や解約の条件が違えば、実際の負担は変わります。

見積もりの項目確認すること
手数料の計算の基準基準にする広告費は税抜か税込か
最低手数料・最低出稿額広告費がいくら未満だと最低額が当てはまるか
初期費用設計・設定・計測の準備など、何の作業か
毎月の作業範囲キーワードと広告文の見直し、LPの改善提案、レポートの頻度
担当者実際に運用する人と話せるか
契約期間・解約最低契約期間、解約の予告期間、解約後のアカウントの扱い
支払いの形広告費を自社がGoogleに払うか、代理店がまとめて請求するか

Google広告に支払う費用の仕組み

Google広告に支払うのは広告の費用で、代理店の手数料とは別です。Googleの公式サイトでは、広告主がキャンペーンの費用を自由に設定でき、クリック単価制ではクリックごとに支払いが発生すると案内されています。

  • 予算:Google広告ヘルプでは、キャンペーンごとに「1日の平均予算」を決めると案内されています。1日の費用は平均予算の2倍まで、1か月の費用は平均予算の約30.4倍までが上限です(多くのキャンペーンの場合)。
  • 消費税:Google広告ヘルプでは、日本のGoogle広告の売上には10%の消費税がかかり、毎月の明細はグーグル合同会社が発行すると案内されています。
  • 支払いの形:自社のカードなどで支払う方法のほか、代理店が「毎月の請求書発行」(月間請求)でまとめて支払う形があります。毎月の請求書発行の設定には、Google広告の管理者の権限が必要です。

参考:Google 広告ヘルプ:1 日の平均予算について

参考:Google 広告ヘルプ:各国における税金

自社運用と運用代行の比較と選び方

自社運用は手数料がかからない代わりに、担当者の時間と学ぶ手間がかかります。運用代行は手数料がかかる代わりに、経験のある担当者の時間と知見を借りられます。比べるときは、費用だけでなく、次の観点を同じ表に並べます。

観点自社運用運用代行
代理店への手数料かからないかかる
社内の作業時間設定・日々の確認・改善・振り返りのすべて打ち合わせ、報告の確認、判断
始めるまでの準備仕組みを学ぶ期間が要る経験のある担当者がすぐに着手できる
ノウハウ社内にたまる任せきりだとたまりにくい
仕様の変更への対応担当者が自分で情報を追う代理店が追う(範囲は契約しだい)
担当者が不在になったとき運用が止まりやすい代理店の体制で引き継がれる
広告アカウントの管理自社で完結する名義と権限の取り決めが必要

自社運用で継続して発生する作業は、次のとおりです。

  • 検索語句を確認し、関係のない語句を除外する
  • 広告文と表示項目(アセット)を追加・入れ替える
  • 予算と入札の設定を見直す
  • コンバージョン(問い合わせなどの成果)の計測が動いているか確かめる
  • LPの改善点を洗い出す
  • 月ごとに数値を振り返り、次の打ち手を決める

以下は、計算の仕方を示すための架空の数字です。担当者がこれらの作業に月15時間を使い、その人の1時間あたりの人件費が3千円なら、自社運用の社内費用は月4万5千円です。始めたばかりの数か月は、設定や仕様を学ぶ時間がさらに加わります。この額を見積もりの手数料と比べ、担当者の時間をほかの仕事に回せる価値も含めて判断します。

自社運用か委託かは、社内の担当者と計測の状態で決まります。

自社の状態向いている形
担当者がいて、計測もできている自社運用。迷う場面だけ外部に相談する
担当者はいるが、経験が浅い一部委託。初期設計、月1回の見直し、計測の設定などを外部に頼む
担当者がいない、計測も整っていない全面委託。アカウントの名義と権限は自社に残す
広告費が少なく、手数料の割合が重い一部委託か、広告以外の施策との比較から始める

契約前に確認したいこと:アカウントの名義と解約条件

運用代行を契約する前に、広告アカウントを自社の名義で持つことと、解約時の扱いを書面で決めておきます。代理店の名義や代理店の月間請求のままだと、乗り換えや自社運用への切り替えに手間がかかるためです。

  • 広告アカウントは自社のGoogleアカウントで管理者に入る。Google広告のアクセス権は、管理者・標準・読み取り専用・お支払いとご請求・メール専用の5段階です
  • 代理店に付ける権限の段階と、その理由
  • 広告費の支払いは自社払いか、代理店の月間請求か
  • 計測タグ、タグマネージャー、アナリティクスを自社が所有する
  • 最低契約期間、解約の予告期間、解約時に引き渡すデータや資料

参考:Google 広告ヘルプ:Google 広告アカウントのアクセス権の概要

よくある質問

参考資料

公式資料の事実と、本文の実務上の提案・架空の例を分けて記載しています。確認日:2026年10月23日。

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この記事を書いた人

株式会社curve 代表取締役 野澤 孝理

株式会社curve 代表取締役

野澤 孝理

GMOインターネット株式会社を経て、株式会社エクスコアに創業メンバーとして参画し、株式会社curveを創業。デジタルマーケティングを軸に、Claude CodeやCodexを活用したサイト・LP制作、解析ツールの導入、業務システムの構築まで、「AIマーケ×AI開発・内製化」を支援しています。AIメディア「AIテックベース」を運営。

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