リスティング広告の代理店に少額で頼めるか

リスティング広告を少額で引き受ける代理店はあります。ただし、最低手数料や最低出稿額を設けている代理店もあるため、少額で頼めるかどうかは代理店ごとの条件しだいです。依頼の前に、その条件と自社の広告費を並べて確かめます。

リスティング広告とは、検索した語句に連動して検索結果に表示される広告です。代理店に頼むと、Googleなどに払う広告費とは別に、代理店への運用手数料がかかります。少額の依頼で確かめたい条件は、主に次の4つです。

条件内容少額のときに起きること
最低手数料割合で計算した手数料が一定の額に満たないときの下限広告費に対する手数料の割合が高くなる
最低出稿額・推奨の広告費代理店が引き受ける、または勧める広告費の目安自社の広告費では引き受けてもらえないことがある
定額型の月額広告費にかかわらず毎月一定の手数料広告費が少ないほど割高になる
最低契約期間解約できるまでの期間試しに始めて合わなかったときにやめにくい

どこからを「少額」と呼ぶかも、代理店ごとに違います。「少額でも対応」という言葉だけでは、自社の広告費が対象かどうかは分かりません。月の広告費の想定額を伝えて、条件を書面で確かめてください。

少額で頼むと手数料が重くなる仕組み

少額の依頼で手数料が重くなるのは、最低手数料や定額の月額があると、広告費が少ないほど広告費に対する手数料の割合が上がるためです。以下は、計算の仕方を示すための架空の数字です。手数料率10%、最低手数料4万円という条件で計算しています。

月の広告費手数料広告費に対する手数料の割合
6万円4万円約67%
12万円4万円約33%
24万円4万円約17%
40万円4万円10%
60万円6万円10%

この架空の条件では、広告費が40万円を下回ると最低手数料が当てはまり、割合が10%を超えていきます。定額型でも、広告費が少ないほど割合が高くなる点は同じです。見積もりを比べるときは、手数料の額だけでなく「自社の広告費に対して何割になるか」を必ず計算してください。

広告費が少ないと、Google広告の配信量にも限りが出ます。Google広告ヘルプでは、キャンペーンごとに「1日の平均予算」を決め、ほとんどのキャンペーンでは、1か月の費用は平均予算の30.4倍までが上限になると案内されています。1日の平均予算が、今の設定で表示やクリックをすべて得るのに必要な額を下回ると、「予算による制限」というステータスが表示されます。この状態でも成果を出すことはできますが、表示の機会を逃している可能性があります。

予算による制限が出ているキャンペーンの入札は、2026年8月17日に変わりました。Google広告ヘルプによると、この日以降、予算で制限されているキャンペーンで目標アクション単価や目標広告費用対効果を使っていると、目標値に向けて最適化されるようになりました。これまで目標より良い実績だったキャンペーンは、実績が目標値に近づく可能性があります。Googleが目標値や予算を自動で変えることはありません。少額で運用しているときは、目標値が今の実績と自社の上限に合っているかを、自社か代理店で見直してください。

参考:Google 広告ヘルプ:入札単価調整の適用時の「予算による制限」を修正する

参考:Google 広告ヘルプ:目標値に基づく入札戦略への変更

少額の広告費を成果に近い検索に集中させる設定

少額で成果を出すには、配信する地域・時間帯・検索語句を絞り、問い合わせにつながりにくい表示に予算を使わないことが基本です。自社で運用する場合も、代理店に頼む場合も、この絞り込みをどこまで行うかを最初に決めます。

設定Google広告ヘルプでの案内少額での使い方
地域国、地域、地点を中心とした半径(1km以上)で指定できる。「所在地」と「所在地やインタレスト」を選べる商圏の外に予算を使わない。商圏にいる人だけに出すなら「所在地」
広告のスケジュール曜日と時間帯を指定でき、指定のない時間帯には表示されない営業時間や、電話に出られる時間に絞る
除外キーワード関係のない検索語句で広告を表示しないようにできる求人、無料、自作など、顧客でない人の検索を除く
キーワード広告を表示したい検索語句を登録する「地域名+サービス名」など、依頼に近い語句から始める

Google広告ヘルプでは、除外キーワードは似た言い回し(類似パターン)には一致しないと案内されています。言い換えや表記のゆれは、別の除外キーワードとして追加する必要があります。少額の運用では、月に一度は実際の検索語句を確かめ、除外を足していくと、予算の無駄が減ります。

参考:Google 広告ヘルプ:広告の対象地域を設定する

依頼前の判断表:代行・一部委託・自社運用・広告以外

少額の依頼で何を選ぶかは、「成果を計測できているか」「手数料を含めた1件あたりの費用が自社の上限に収まるか」「社内に担当者がいるか」「検索で探される商品やサービスか」の4つで判断できます。上限は、ほかの会社の料金ではなく、自社の利益から逆算して決めます。

上限は、次の手順で出します。

  1. 1件の受注で残る粗利を確かめる
  2. そのうち、広告と手数料に使ってよい額を「1件あたりの上限」として決める
  3. 月にほしい問い合わせや受注の件数を掛け、月に使える総額を出す
  4. 総額から見積もりの手数料を引き、広告費に回せる額を出す
  5. その広告費で、ほしい件数が得られそうかを、今の広告の成果や見込みから確かめる

以下は、計算の仕方を示すための架空の数字です。1件の粗利が6万円で、広告と手数料に使える上限を1件1万5千円と決め、月に10件の問い合わせがほしいとします。月に使える総額は15万円です。手数料が月4万円なら、広告費に回せるのは11万円です。この11万円で10件の問い合わせを得られる見込みがなければ、全面委託は合わないと判断できます。

自社の状態向いている選び方
成果の計測ができていない運用の前に、計測の設定だけを外部に頼む
計測はできていて、手数料を含めても1件あたりの上限に収まる運用代行(全面委託)
手数料を含めると上限を超え、社内に担当者がいる一部委託(初期設計や月1回の見直しだけを頼む)
手数料を含めると上限を超え、担当者もいない広告費を増やせる時期まで、広告以外の施策を先に進める
検索で探されることが少ない商品やサービスリスティング広告より、MEOやSEO、ほかの広告を比べる
少額で代理店に頼むかの判断の流れ
計測、1件あたりの費用、担当者の順に確かめて選ぶ。

少額で任せる範囲の決め方

少額で代理店の手を借りるときは、全部を任せるのではなく、自社でつまずきやすい作業だけを切り出して頼む方法があります。切り出し方は、次の表のように分けられます。

頼む範囲代理店がすること自社に残る作業向いている場面
初期設計のみキャンペーンの構成、キーワードと広告文の作成日々の確認と調整これから始める
計測の設定のみコンバージョンタグや電話の計測の設定と確認運用全般成果が数えられていない
月1回の見直し・助言数値の確認と改善点の提案提案に沿った設定の変更担当者はいるが経験が浅い
全面委託設定・改善・報告のすべて打ち合わせと判断手数料を含めても上限に収まる

一部委託を頼むときは、作業の回数(初回のみか、毎月か)と、受け取るもの(設定の変更そのものか、提案書か)を決めてから見積もりを依頼します。ここがあいまいだと、同じ「月1回の見直し」でも代理店ごとに中身が違い、比べられません。

一部委託でも、広告アカウントは自社で持てます。Google広告のアクセス権は、管理者・標準・読み取り専用・お支払いとご請求・メール専用の5段階です。自社を管理者にして、代理店には作業に必要な段階の権限を付けます。

参考:Google 広告ヘルプ:Google 広告アカウントのアクセス権の概要

少額でも失敗しない代理店の選び方

少額の依頼で代理店を選ぶときは、料金の安さより先に、最低手数料と最低出稿額、毎月の作業範囲、広告アカウントの名義の3つを確かめます。少額の依頼ほど、作業範囲があいまいなまま契約すると、期待と実際の差が大きくなります。

  • 最低手数料、最低出稿額、推奨の広告費が書面で示されている
  • 手数料の計算の基準(広告費は税抜か税込か)が分かる
  • 毎月の作業の内容と、報告の頻度が具体的に書かれている
  • 実際に運用する担当者と話せる
  • 広告アカウントは自社の名義で、自社の担当者が管理者に入る
  • 最低契約期間と解約の予告期間が分かる
  • 計測の設定が含まれるか、別料金かが分かる
  • LPの改善が必要になったとき、誰がどう対応するかが決まっている
  • Google広告とYahoo!広告のどちらを使うか、理由の説明がある

少額の依頼で行き違いが起きやすいのは、次のような場面です。契約の前に、どれも書面で確かめておくと防げます。

  • 最低手数料を知らずに契約し、広告費に対して手数料が割高になった
  • 成果の計測が整わないまま配信を始め、効果があるのか判断できない
  • 毎月の作業が報告書の送付だけで、設定の見直しが行われていなかった
  • 広告アカウントが代理店の名義で、乗り換えのときに引き継げなかった

見積もりの計算の仕方と手数料の決まり方は、別の記事で詳しく整理しています。

少額なら広告以外の施策も比べる

広告費が少ない場合は、リスティング広告だけでなく、無料で始められるGoogleビジネスプロフィールの整備(MEO)や、ホームページの改善と比べて順番を決めます。店舗や地域で商売をしている会社では、ビジネスプロフィールを広告アカウントにリンクすると、その住所などの情報が、広告に店舗の住所や地図を出す住所アセットにも使われます。

施策費用のかかり方成果が出るまで向いている場面
リスティング広告クリックなどに応じた広告費配信を始めればすぐ表示される今すぐ探している人に届けたい
MEOプロフィールの作成と掲載は無料。整備の手間がかかる情報の整備と口コミの積み重ねが必要店舗や地域で選ばれたい
SEOページや記事の制作の費用と手間時間がかかる長く集客の土台を作りたい
LPの改善制作の費用改善後の広告から反映される広告のクリックはあるが問い合わせが少ない

Googleの公式ページでは、ビジネスプロフィールは作成も、Googleへのビジネス情報の掲載も無料と案内されています。

参考:Google ビジネス プロフィール:Google に掲載する

よくある質問

参考資料

公式資料の事実と、本文の実務上の提案・架空の例を分けて記載しています。確認日:2026年10月23日(予算の上限と、2026年8月17日の入札の変更、住所アセットは2026年10月24日に確認。入札戦略の名前は2026年10月25日に再確認)。

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この記事を書いた人

株式会社curve 代表取締役 野澤 孝理

株式会社curve 代表取締役

野澤 孝理

GMOインターネット株式会社を経て、株式会社エクスコアに創業メンバーとして参画し、株式会社curveを創業。デジタルマーケティングを軸に、Claude CodeやCodexを活用したサイト・LP制作、解析ツールの導入、業務システムの構築まで、「AIマーケ×AI開発・内製化」を支援しています。AIメディア「AIテックベース」を運営。

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