クエリファンアウトとは

クエリファンアウトとは、AIが1つの質問に答えるために、関連する複数の検索を同時に行い、その結果をまとめて回答を作る仕組みです。英語では「query fan-out」と書き、扇(fan)のように質問が広がる様子から、この名前で呼ばれています。

Googleは、AIによる概要とAIモードが、サブトピック(質問を構成する小さな論点)やデータソースをまたいで関連する検索を行い、回答を組み立てる場合があると案内しています。この仕組みにより、通常の検索より幅広く多様なページへのリンクが表示されることがあるとしています。

Googleの説明では、雑草が多い芝生についての検索から、除草剤や雑草の予防といった関連の検索が生まれる例が挙げられています。利用者が入力していない論点まで、AIが調べに行くという点が特徴です。

中小企業にとってこの仕組みが関係するのは、お客様の相談が、AIの中で「料金」「地域」「流れ」のような論点に分けて調べられる可能性があるためです。社名やサービス名で検索されなくても、論点の一つに答えているページであれば、回答の参照先として見られることがあります。逆に、どの論点にも具体的に答えていないページは、候補に入りにくいと考えられます。

項目通常の検索クエリファンアウトを使うAIの検索
検索の回数入力した言葉で1回関連する複数の検索を同時に行う
結果の形ページの一覧複数の結果をまとめた回答とリンク
見られるページ入力した言葉に合うページ関連する論点に答えるページも含む

参考:Google:AI 機能とウェブサイト

AIモードとAIによる概要で起きていること

AIモードとAIによる概要では、利用者の質問が、AIの中でいくつかのサブ質問に分けられ、それぞれの検索結果をもとに回答とリンクが作られます。AIモードとは、Google検索の中で、AIと会話をしながら質問を深められる機能です。

クエリファンアウトの流れ
1つの質問が複数の検索に分かれ、まとめた回答とリンクになる

以下は架空の例です。「渋谷で相続の相談ができる税理士を探している。費用も知りたい」という質問なら、AIは次のような論点を調べると考えられます。

  • 相続税の申告を税理士に頼むときの報酬の考え方
  • 渋谷区やその周辺の税理士事務所
  • 相続の相談から申告までの流れと期間
  • 初回の相談の受け方

ただし、実際にどんなサブ質問が作られたかは、外からは分かりません。上の分け方は、仕組みを理解するための推測です。

参考:Search Console ヘルプ:生成 AI パフォーマンス レポート(検索)

従来のSEOと変わる点・変わらない点

変わらないのは、検索に正しく読み込まれ、利用者に役立つページであることが前提という点です。Googleは、生成AI機能は検索の中核のランキングと品質の仕組みに基づいているため、SEOのベストプラクティスが引き続き有効だとしています。

変わらない点変わる点(実務上の見立て)
インデックスされ、スニペットを表示できることが前提1つのキーワードの順位だけで、見られ方が決まらない
利用者の役に立つ内容であること関連する論点に答えているページも、参照の候補になりうる
サイトの技術的な問題がないこと質問の背景にある条件や不安に答えているかが問われる

右の列は、Googleの説明をもとにしたcurveの実務上の見立てです。Googleは、どのページがどのサブ質問で選ばれるかの基準を公開していません。

効果の見方も少し変わります。1つのキーワードの順位を追うだけでは、AI機能の中での見られ方は分かりません。Search Consoleの生成AIのレポートで、どのページがAI機能で表示されているかをページ別に見て、問い合わせの内容の変化と合わせて判断します。表示回数が増えたページは、どの論点に答えているページかを確かめると、次に書き足す論点の手がかりになります。

キーワード選びの考え方そのものは、これまでと同じです。お客様が何を知りたくて検索しているのかという検索意図を考えることが、サブ質問を考えることにもつながります。

自社に関係するサブ質問を洗い出す方法

サブ質問は、お客様の相談を「料金」「条件」「比較」「地域」「流れ」「不安」の6つの観点に分けると、ツールを使わずに洗い出せます。材料は、日々の問い合わせや電話、商談で実際に聞かれていることです。

  1. 問い合わせのメールや電話でよく聞かれることを、そのままの言葉で集める
  2. 代表的な相談を1つ選び、6つの観点に分けてサブ質問を書き出す
  3. それぞれのサブ質問に答えている自社のページを、対応表に書く
  4. 答えるページがない、または説明が薄いところに印を付ける
  5. 代表的な相談をそのままAIに聞き、回答と引用されたページを見比べる

以下は架空の例で、地域の工務店の場合です。

観点サブ質問の例答えるページ
料金外壁の塗り替えは何で金額が変わるか料金ページ(不足)
条件築何年から相談できるかよくある質問(なし)
比較塗装と張り替えの違いは何かサービスページ(あり)
地域対応している市区町村はどこか会社情報(あり)
流れ相談から工事完了までの期間は依頼の流れ(あり)
不安工事中も住み続けられるかよくある質問(なし)

Search Consoleの検索パフォーマンスにある、実際に表示されたクエリも材料になります。特に、長い言葉や質問の形のクエリは、お客様の関心をそのまま表しています。

手順5でAIに聞くときは、相談の文をなるべくそのまま使い、地域名や条件を入れた形と入れない形の両方を試します。回答に出てきた論点のうち、自社のページで答えられていないものがあれば、それが書き足す候補です。回答は日によって変わることがあるため、1回の結果で決めず、日を変えて数回確かめてください。

サイト側の対策:ページを増やす前に既存ページを充実させる

サイト側の対策は、サブ質問ごとにページを作ることではなく、既存のサービスページや料金ページ、よくある質問に、お客様が知りたい条件と根拠を書き足し、内部リンクでつなぐことです。

  • 1つのページでは、1つのサービスやテーマを扱う
  • 料金が変わる条件、対応できない場合、期間の目安を書く
  • 似たサービスとの違いを、比べる基準と一緒に書く
  • 対応地域や拠点を、会社情報とサービスページの両方に書く
  • 関連するページ同士を、内部リンクでつなぐ

以下は架空の例です。先ほどの工務店の料金ページに「外壁塗装はお見積もりします」とだけ書かれていた場合、料金のサブ質問に答えられていません。金額が変わる条件として、建物の面積、塗料の種類、足場の有無、傷みの程度を挙げ、見積もりに含まれる作業を書き足すと、料金の論点に答えるページになります。金額を一律に出せなくても、決まり方を書くことはできます。

Googleは、AIのために文章を細かく分けたり、AI向けに書き換えたりする必要はないとし、理想のページの長さもないと案内しています。読む人が知りたい順番に、必要な情報を過不足なく書くことが基本です。

店舗型の事業では、営業時間や駐車場の有無のようなサブ質問に、Googleビジネスプロフィールの情報が答えることもあります。ホームページとビジネスプロフィールの表記をそろえておくと、どちらが参照されても同じ答えになります。

参考:Google:Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する

やってはいけないこと:サブ質問向けページの量産

Googleは、クエリファンアウトを狙ってページを大量に作ることは、スパムポリシーの「大量生成されたコンテンツの不正使用」に当たると明記しています。あわせて、ページの数の多さがサイトの品質を高めるわけではないとしています。

スパムポリシーでは、大量生成されたコンテンツの不正使用を、利用者の役に立つことより、検索順位の操作を主な目的として大量のページを作ることと説明しています。生成AIのツールなどを使って、価値を加えずに大量のページを作ることも例に挙がっています。

次のようなページの作り方は、避けてください。

  • 地域名だけを入れ替えた、中身が同じページを多数作る
  • AIで言い換えただけの、似た内容のページを多数作る
  • サブ質問の言葉を入れただけで、答えになっていないページを作る

外部の業者から「AI検索に対応するため、質問ごとのページを数百作る」といった提案を受けた場合は、各ページに自社ならではの情報が入るのかを確かめてください。中身が似たページを大量に作り、スパムポリシーに反すると判断されると、検索での表示に影響するおそれがあります。

参考:Google:Google 検索のスパムに関するポリシー

よくある質問

参考資料

公式資料の事実と、本文の実務上の提案・架空の例を分けて記載しています。確認日:2026年10月23日。

自社の課題を整理する

現在の状況と目標を伺い、優先して見直す情報や施策を整理します。集客・Web制作・業務改善の支援について、curveへご相談ください。

支援について相談する →

実施や運用の支援をお探しの方へ

記事で紹介した取り組みを自社で進めたい場合は、目標・現状・運用体制に合わせて支援内容をご提案します。

集客戦略・広告・検索・SNSの支援について詳しく見る →

料金とプランを見る(デジタルマーケティングの専用ページ) →

この記事を書いた人

株式会社curve 代表取締役 野澤 孝理

株式会社curve 代表取締役

野澤 孝理

GMOインターネット株式会社を経て、株式会社エクスコアに創業メンバーとして参画し、株式会社curveを創業。デジタルマーケティングを軸に、Claude CodeやCodexを活用したサイト・LP制作、解析ツールの導入、業務システムの構築まで、「AIマーケ×AI開発・内製化」を支援しています。AIメディア「AIテックベース」を運営。

この内容を自社で相談する