弁護士のSEO対策で最初に決めること

弁護士のSEO対策で最初に決めるのは、「どの分野の、どの段階の相談者に、どのページで答えるか」です。法律の検索は「弁護士 〇〇市」だけではありません。「離婚 弁護士 費用」「交通事故 弁護士 いつ相談」「残業代 未払い 相談先」のように、分野と悩みの段階が加わります。トップページと「取扱業務」の一覧だけでは、こうした検索に答えきれません。

もう一つの前提は、法律事務所のホームページが業務広告の規制対象だという点です。日本弁護士連合会の「弁護士等の業務広告に関する規程」(会規第44号)は、弁護士が自分や自分の業務を知らせ、依頼者となるよう誘うことを主な目的とする表示を「広告」と定めています。解釈の基準は「業務広告に関する指針」に示されています。規程は2025年12月5日に一部改正され、改正部分は2026年4月1日と7月1日に施行されています。

Googleは、人の健康や安全、経済的な安定などに大きく影響しうる話題を「YMYL」と呼び、信頼性を特に重く見ると説明しています。相続、債務整理、損害賠償など、弁護士が扱う多くの分野はこれに近い話題です。規程を守った正確な表現は、検索での評価とも同じ方向を向いています。

参考:日本弁護士連合会:会規(弁護士等の業務広告に関する規程・業務広告に関する指針)

業務広告規程で弁護士のホームページに書けない表現

弁護士のホームページでは、訴訟の勝訴率、特定の事務所と比べた優位性、結果を約束する表現、不安をあおる表現は使えません。規程第3条は誤導・誤認のおそれのある広告や誇大な広告を、第4条は勝訴率の表示などを禁じています。指針の例をもとに、SEO用のページで起きやすい表現を整理します。

よくある表現規程・指針での扱い書き換えの方向
「勝訴率95%」訴訟の勝訴率は表示できない(第4条)相談から解決までの流れと、弁護士が行うことを書く
「離婚専門の弁護士」「相続のプロ」客観性が担保されない専門表示は控えるのが望ましいとされる。プロ・エキスパート等も同様「取扱分野」「積極的に取り組んでいる分野」と書く
「〇〇事務所よりスタッフが多い」特定の弁護士・事務所と比較した広告は禁止(第3条)自分の事務所の体制を事実として書く
「着手金0円」別途の手数料などを取るのに示すと誤認の例とされる報酬の種類、金額、算定方法をまとめて書く
「24時間365日相談対応」相談体制が整っていないのに書くと誤認の例とされる実際の受付時間と、折り返しの方法を書く
「今すぐ相談しないと手遅れです」困惑させ、過度な不安をあおる広告は禁止(第3条)。指針にも近い例がある時効などの期限を、条件とともに説明する

指針は、「最も」「一番」などの最大級の言葉、「完璧」などの完全を意味する言葉、「常勝」など結果を確信させる言葉も、文脈によって違反になりうるとしています。債務整理のページで、入力するだけで減額の可否が分かるかのような「借金減額診断」も、誤認の例として挙げられています。

参考:日本弁護士連合会:業務広告に関する指針(PDF)

相談者の場面ごとに入口のページを決める

弁護士のSEOでは、取扱分野ごとに入口のページを作り、その分野の相談者が相談前に迷う点に先に答えます。同じ離婚でも、考え始めた人と調停を控えた人では、知りたいことが違うためです。

相談者の場面検索語の例入口のページ先に答えること
離婚を考え始めた離婚 弁護士 〇〇市離婚の分野ページ初回相談で聞くこと、準備する資料、費用の種類
遺産分割でもめている遺産分割 弁護士 費用相続の分野ページ依頼できる範囲、手続きの流れ、期間の目安の考え方
交通事故に遭った交通事故 弁護士 いつ相談交通事故の分野ページ相談の時期、保険会社とのやり取りの扱い
借金の返済が苦しい債務整理 弁護士 費用債務整理の分野ページ手続きの種類、報酬の算定方法、支払時期
会社として顧問を探す顧問弁護士 費用 〇〇市企業法務・顧問のページ顧問契約で対応する範囲、相談の方法
法律事務所のホームページの基本構成
分野ページを入口に、費用・相談の流れ・弁護士紹介を経て相談予約につなぎます。

相談者の段階によって、入口にするページも変わります。「離婚 財産分与 とは」のような情報を集める段階の検索には法律コラムで答え、関係する分野ページへつなぎます。「離婚 弁護士 費用 〇〇市」のような依頼先を探す段階の検索には、分野ページそのもので答えます。コラムと分野ページが同じ検索語を取り合わないよう、役割を分けておくことが大切です。

規程第9条は、広告中に弁護士の氏名と所属弁護士会(弁護士法人は名称、事務所名、所属弁護士会)を表示するよう定めています。電話やメールなどで受任する場合は、受任する法律事務の範囲、報酬の種類・金額・算定方法・支払時期、委任契約を解除できる旨と清算方法も表示が必要です(第9条の2)。

弁護士紹介・費用・解決事例のページで信頼の根拠を示す

弁護士紹介、費用、解決事例のページは、相談者が依頼先を決める前に必ず確かめるページです。Googleは、誰がどのように作ったコンテンツかを明確にすることを勧めており、YMYLの話題ではE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を特に重視すると説明しています。

弁護士紹介には、氏名、所属弁護士会、登録年、経歴、取扱分野、実在する著書や講演を書きます。指針では、実体のない団体の役職を示すことや、元検事や元調停委員といった前職を示して、検察庁や裁判所で有利な扱いを受けられるかのように示唆する表示は違反の例とされています。経歴は事実として書き、そこから結果を約束しません。

費用のページでは、相談料、着手金、報酬金、実費、日当などの報酬の種類ごとに、金額と算定方法、支払時期を書きます。金額に幅がある場合は、何によって変わるのかを説明します。

以下は架空の例です。離婚の分野ページの費用欄なら、「着手金:〇〇円(税込)、受任時に一括払い」「報酬金:得た経済的利益の〇%(税込)、事件の終了時」「実費:収入印紙・郵便切手など、別途実費」のように、種類ごとに金額、算定方法、支払時期を1行にまとめます。

解決事例は、依頼者の書面または電磁的方法による同意がある場合や、依頼者が特定されず利益を損なうおそれがない場合などに限り書けます。規程第4条は、受任中の事件と過去に扱った事件を原則として表示できないとし、こうした例外を定めています。2026年4月1日施行の改正で、同意の方法に電子メールなどの電磁的方法が加わりました。指針では、次のような表示は事実に合致しない広告にあたるとされています。

  • 架空の解決事例や、実際の結果を脚色した事例
  • 実在の依頼者が関わっていない「お客様の声」
  • 実在しない人物の推薦文

「交通事故で1億3,000万円を獲得しています。あなたも可能です。」のように、他の事件と同じ結果を期待させる書き方も、誤認の例として示されています。解決事例では、依頼者が特定されない範囲の事案の概要、争点、弁護士が行ったこと、結果を書き、結果は事案によって異なることを添えます。法律コラムには、書いた弁護士の名前と確認した日を表示し、関係する分野ページにつなぎます。

Googleマップの口コミも同じ考え方で扱います。消費者庁のステルスマーケティング規制(2023年10月1日施行)の運用基準では、事業者が第三者に依頼して口コミサイトなどに投稿させた表示は、事業者の表示とされます。依頼者に口コミをお願いする場合も、謝礼を出したり内容を指定したりせず、全員に同じ方法で案内します。

ホームページとSEO外注の記録を3年間残す

弁護士のホームページは広告として、広告が終わってから3年間、広告物と関係する記録を保存する必要があります(規程第11条)。指針では、ウェブサイトの広告はリンク先のURLを含めてデータか印刷物で保存し、大きな変更があれば変更の前後をどちらも保存するとされています。

2026年7月1日からは、保存の対象に次のものが加わりました。

  • 広告業者との契約書、見積書、発注書、請求書、関係するメールなど
  • その契約に関する入出金の記録

指針は、SEO対策やアフィリエイトのために第三者が管理するウェブサイトを使う場合、その広告配信の方針や報酬が発生する条件を記載した資料の保存も求めています。また規程第8条は、規程に反する第三者の表示に金銭を払ったり協力したりすることを禁じています。指針では、弁護士の優劣を論じるランク付けの記事がその例とされています。ポータルサイトや比較サイトに載る前に、表示の内容を確かめます。

Search Consoleで相談につながる検索語を確かめる

Google Search Consoleの検索パフォーマンス レポートでは、相談者が実際に使った検索語(クエリ)と、表示された分野ページの組み合わせを確かめられます。法律事務所では、分野ページごとに次の順で見ます。

  1. 「ページ」で分野ページ(例:離婚のページ)を指定し、「クエリ」の表で表示された検索語を見る
  2. 「費用」「いつ」「無料」「期間」など、依頼の直前に使われやすい語の表示回数とクリック率を見る
  3. 「クエリ」で分野名を含む語を指定し、「ページ」の表で、法律コラムが分野ページより上に出ていないかを見る
  4. 分野ページを直したら、「比較」で修正前と修正後の同じ日数を並べ、クリック数とクリック率の変化を見る
  5. 事務所名を含む検索と含まない検索を分けて、事務所を知らない相談者からの流入が増えているかを見る

検索語の中に、ページで答えていない悩みが見つかれば、分野ページに説明を足すか、法律コラムを書いて分野ページにつなぎます。

参考:Search Console ヘルプ:検索パフォーマンス レポート

よくある質問

参考資料

公式資料の事実と、本文の実務上の提案・架空の例を分けて記載しています。確認日:2026年10月23日。

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この記事を書いた人

株式会社curve 代表取締役 野澤 孝理

株式会社curve 代表取締役

野澤 孝理

GMOインターネット株式会社を経て、株式会社エクスコアに創業メンバーとして参画し、株式会社curveを創業。デジタルマーケティングを軸に、Claude CodeやCodexを活用したサイト・LP制作、解析ツールの導入、業務システムの構築まで、「AIマーケ×AI開発・内製化」を支援しています。AIメディア「AIテックベース」を運営。

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